Messages from Alumni 卒業生の声

制約を逆手に取り、
哲学と美学を演出する。

現在のお仕事について教えてください

アニメーションの監督や演出の仕事をし、テレビアニメシリーズ、ゲームムービー、MV、などの映像作品の監督、絵コンテ、演出などを行っています。アニメーション作家として事業を営んできました。

最近ですとTVアニメ「夫婦以上、恋人未満。」の監督、「ひろがるスカイ!プリキュア」などの前期EDアニメーションの演出などを担当しました。ゲームムービーだとPS5の「Ghostwire: Tokyo」というインゲームシネマティックのディレクションだったり、「モンスターハンター サンブレイク」の絵コンテも担当しました。

監督や演出は、クライアントや関わるスタッフ(映像、音響、編集など)に対してそのカットについて詳細にどうしたいか説明し、またその意図に沿っているかなどを判断し、調整を行なっていく役職です。プロジェクトごとに時間もお金も限られていますし、要件も大きく異なりますので、その中で作品を楽しみにしている視聴者、ユーザーに対して、可能な限り、面白さを最大化し、演出していくのが醍醐味になります。

あなたの学生生活について教えてください

私は、大学時代、映像サークルに所属しつつ、画像設計学科の同期とTV番組制作の自主制作映画を作ったり、画像設計と映画研究部の先輩に作品に出演してもらったりしていました。

ただ、実写のサークルでアニメを作っている形だったので、自分たちでアニメを発表する場まで作りたいよねということで、後輩二人とアニメーションサークル「ANIMA production」を作りました。アニマは魂という意味で、アニメーションの語源ですが、本当は一緒にサークルを作った友人と僕が「ゼノギアス」というゲームが好きで作中に出てくる「アニマの器」という用語だったのが一番の理由です。今も続いていて、サークル結成から16年くらい経っているようです。そんな形で大学では楽しく自主制作のアニメーション作品を作ったりしていました。

大学の授業では美術史やデザインの歴史を学んだり、眼の物を認識するプロセスと構造を学んだり、マルチ映像、実験映像の授業、卵を三階から落としても割れない入れ物を作ったりと、様々な授業を受けたりしていました。

講義もそうでしたが、大学で得られたのは尊敬できる先生と、優秀な友人、先輩との繋がりと創作についてたくさん考える時間でした。

そうするうちにNHKの「デジスタ」というクリエイター発掘番組に出演したきっかけでドラマ内のアニメーション制作をするお仕事をいただきました。

そのつながりでいただいたお仕事をこなしていると、就活を全くしないまま月日が流れて大学院2年の確か、春か夏あたり、大学院の指導教員に「就職しない道」を後押していただいたのが、今の自分につながっていると思います。今思い返しても無茶ではありましたが、良かったなと思います。自分一人で作るのではなく、たくさんのいい仲間とコミュニケーションをできたことも今の自分につながっているかもしれません。

受験生に向けてのメッセージ

この文章を読んでいる方はもしかしたらこちらの学科に入るかもしれませんし、あえて入らないかもしれません。受験勉強が主軸にある高校時代とは違い、大学という場所は、この大学に限らず、自分の好きなことを探していい場所だと思います。

私は研究で一番大事なことは「熱中して時間を忘れられる本当に好きなことを見つけること」だと教わりました。皆さんにも、進んだ先でそんな夢や一緒に追いかけられる大事な仲間を見つけられることを願っていますし、応援しています。

山元 隼一

2009年 画像設計学科卒業
2011年 大学院デザインストラテジー専攻修士課程修了

関連記事